背面注入止水工法

 地下外壁や底版等に、ハンマードリル(φ10mm)で設けた貫通注入孔から躯体背面側に注入型防水材を注入します。注入型防水材は土圧を受ける背面土と躯体の間に拡散し、新たな防水膜を形成します。


背面注入止水工法はアルカリ骨材反応(ASR)対策に有効です

 

 アルカリ骨材反応(ASR)の反応因子である”水”を躯体背面から遮断する事は非常に困難ですが、本工法では掘削等大掛かりな工事を行わずに水を遮断することが可能です。

  また、亀甲状に漏水ひび割れが密生している場合には、個々の漏水ひび割れに対して「ひび割れ注入止水工法」を施工するよりも経済的な場合があります。

【 背面注入施工概念断面図 】
【 背面注入施工概念断面図 】

背面注入止水工法が有効なケース

 

●CASE1 >>> ASRや過度なエトリンガイトの生成等、コンクリート構造物への水の浸入を防ぎたい場合

 擁壁等の構造物におけるASRや過度なエトリンガイトの生成等が発生している場合、コンクリート表面は表面被覆工等により改善することができますが、構造物背面から浸入する水は防ぐことができません。このような場合には、構造物の背面に防水膜(遮水膜)を形成する事がASRや過度なエトリンガイトの生成等の反応抑制に対する根本的な改善策となります。


 

●CASE2 >>> 浸入水に油分が含まれている場合

 一般的に用いられている注入止水材は油分との相性が悪いため、硬化性・接着性に影響を及ぼす場合があります。当社が背面注入止水工法にて使用する注入型防水材は、耐油性・耐薬品性に優れているため油分を含んだ浸入水に対して確実な効果を発揮します。

 

●CASE3 >>> リニューアル等によりコンクリートが積層している場合

 床面などでコンクリートが増し打ちされている場合、水の浸入経路であるひび割れ・打継部等を直接塞ぐことは困難です。その場合コンクリート背面と地山との間に注入型防水材を注入し、防水膜(遮水膜)を形成することが有効な手段となります。

 

●CASE4 >>> コンクリ―ト表面に被膜があり、漏水経路が不明な場合

 コンクリート構造物の表面に被膜があり、被膜を撤去しない状態で漏水を改善する必要がある場合に有効な手段です。

 

●CASE5 >>> 亀甲状にひび割れが密生している場合

 亀甲状に漏水ひび割れが密生し、ひび割れ注入止水工法の施工が不経済だと考えられる場合に有効です。